挿
さし
名詞
標準
文例 · 用例
予はかく長々しく自分の考の有丈ケを述べて先生に判断を乞うたのである、先生はその間一語も挿まれず、瞑目して聞かれた様子で、予が話をきるとすぐに大体そんな訳であるといわれた、なお話を進められて。
— 伊藤左千夫 『竹乃里人』 青空文庫
全集に網羅されてる俳句は、日記旅行記等に挿入されているものを合計して、僅かにやつと八十句位しかない。
— 俳人としての芥川龍之介と室生犀星 『小説家の俳句』 青空文庫
夏祭の日には、家々の軒に、あやめや、菖蒲や、百合などの草花を挿して置くので、それが雨に濡れて茂り、町中が忽ち青々たる草原のようになってしまう。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
山吹や笠に挿すべき枝の形 ひとり行く旅の路傍に、床しくも可憐に咲いてる山吹の花。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
蕭条とした山野の中を、孤独に寂しく漂泊していた旅人芭蕉が、あわれ深く優美に咲いた野花を見て、「笠に挿すべき枝のなり」と愛しんだ心こそ、リリシズムの最も純粋な表現である。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
机の上の小さな一輪挿しには椿、さつき、菜の花、海棠、山吹、薔薇という順序に花が挿されて、最後の薔薇が花を開き切らない中にそこを去るようになりました。
— "Not till the sun excludes you, do I exclude you; 『●「或る女」巻頭のホイットマンの詩』 青空文庫
良子は机の上に振り向くと、家の中は暗くつて、机の上に池の中の鯉や舟を、縁に立つて見てゐる二人の男の子の描かれた挿絵がボンヤリ出てゐる。
— 中原中也 『良子』 青空文庫
ここで一つ、面白い(面白いどころか不屈至極だと、叱る人もあるかもしれないが)エピソードを挿ませてもらいたい。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫