粗豪
そごう
形容動詞
標準
文例 · 用例
ここへ来てからというもの、体身中が荒彫りのような、粗豪な塊で埋められてしまい、いつも変らず少し愚鈍ではございますけど、そのかわり兄と一緒に、日々野山を駆け廻っておりますの。
— 小栗虫太郎 『白蟻』 青空文庫
又粗豪の人は瑣事に手を下すことを嫌つて、敏捷の人を得てこれに任ぜしめようとする。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
国権派の政治家、すなわち後の民選議院建白者は政策において粗豪の嫌いなきにあらざれども、その気質は※儻正大を旨とし、学者の講談、志士の横議には毫も危懼を抱かず、むしろ喜んで聴くの風ありき。
— 陸羯南 『近時政論考』 青空文庫
で、そこにあるものといえば、粗豪と都雅との群像美であった。
— 国枝史郎 『沙漠の美姫』 青空文庫
その番頭さんの女房も、お附女中のおとのさんも、おおかめさんの近親であるから、おおかめさんの豪勢ぶりも粗豪で異色があり、せまい小川湯は、たちまちこの一群に占領され特設のお風呂場のごとくなってしまう。
— 続旧聞日本橋・その二 『鉄くそぶとり』 青空文庫
(二)酔後は精神が興奮してゐるから、沈着の人でも粗豪となる。
— 市島春城 『読書八境』 青空文庫
主人が年若く粗豪なるに似もやらず、几案整然として、すみずみにいたるまで一点の塵を留めず、あまつさえ古銅|瓶に早咲きの梅一両枝趣深く活けたるは、温かき心と細かなる注意と熟練なる手と常にこの室に往来するを示しぬ。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫
遠洋航海より帰り来て、浪子のやせしを見たる武男が、粗豪なる男心にも留守の心づかいをくみて、いよいよいたわるをば、いささか苦々しく姑の思える様子は、怜悧き浪子の目をのがれず。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫