穂綿
ほわた
名詞
標準
cattail cotton
文例 · 用例
蘆のまわりに、円く拡がり、大洋の潮を取って、穂先に滝津瀬、水筋の高くなり行く川面から灌ぎ込むのが、一揉み揉んで、どうと落ちる……一方口のはけ路なれば、橋の下は颯々と瀬になって、畦に突き当たって渦を巻くと、其処の蘆は、裏を乱して、ぐるぐると舞うに連れて、穂綿が、はらはらと薄暮あいを蒼く飛んだ。
— 泉鏡花 『海の使者』 青空文庫
文政十一年の秋ももう暮れかかる九月二十一日朝の四つ半頃(午前十一時)で、大師河原の芦の穂綿は青々と晴れた空の下に白く乱れてなびいていた。
— 岡本綺堂 『鷲』 青空文庫
捨てて置け」と、父の行綱は皺だらけになった紙衾を少し掻いやりながら、蘆の穂綿のうすい蒲団の上に起き直った。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
隣の空地ではある季節にはこれただ一色に蔽われて、色々の虫の声を宿し、小路を隔てて一斉に袖を振る様子は、招くと言おうよりもむしろデモンストレエションに近く、風が吹けば盛んに穂綿を流して来るのだが、私の庭へは僅かな片陰以外、めったに下りて土着しようとはしない。
— 野草雑記 『野草雑記・野鳥雑記』 青空文庫
或いは支那で閔子騫が、継母に憎まれて着せられたというような、葦の穂綿なども使われていたろうかと思うが、少なくとも木綿の綿はまるで無く、筑紫綿とも言わるる絹の真綿は、常人の家では企て望み難いものであった。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
雜草の種子は纖毛に運ばれて、地面に近い所をおほわたと一所になつて飛びまはつてゐる。
— 有島武郎 『秋』 青空文庫
(おほわた)來い、來い、まゝ食はしよ。
— 泉鏡太郎 『五月より』 青空文庫
又「雪降り小女郎」(一五五頁)とは、東京で云ふおほわたこわた(背に白き粉のある小虫の名)のことです。
— 野口雨情 『十五夜お月さん』 青空文庫
作例 · 標準
ガマの穂が弾けて、白い穂綿が風に舞っていた。
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古い座布団の中には、昔ながらの穂綿がぎっしり詰まっていた。
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彼は、道端に落ちていた穂綿を集めて、小さな雪だるまのようなものを作っていた。
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