慄毛
慄毛
名詞
標準
文例 · 用例
「実は、寝台の下に落ちていたんだが、それをこのメモと引合わせてみて、僕は全身が慄毛立った気がした。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
ああそうそう、その時階下には誰も居りませんでしたが……」「そうしてみると、現在の浄善とは、屍体の状態が異う事になる」と云って検事が法水を見ると、法水も慄毛立った顔になっていた。
— 小栗虫太郎 『夢殿殺人事件』 青空文庫
」 私は一瞬|慄毛を振るつて後退るやうにして面を振り立てた。
— 嘉村礒多 『途上』 青空文庫
閉ぢても、閉ぢても目は円く開き、横向に一人じつとして身ゆるぎもせぬ体は慄毛だつ寒さと汗に蒸される熱さとの中で烹られる。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集拾遺』 青空文庫
鞭打ちなどより、慄毛の立つような恐ろしい目に会ったりした。
— 室生犀星 『お小姓児太郎』 青空文庫
父親の部屋を覗いてみると、何時も引き手のある襖の方に眼をそそいでゐて、誰かが來てくれれば都合がよいと、そればかりを頼つてゐる父親の眼つきが餘りにも眞正面に向けられてゐるのに、慄毛立つて無邪氣にただいまと言つて挨拶することも出來なかつた。
— 室生犀星 『渚』 青空文庫