銀モール
ぎんモール
名詞
標準
silver lace
文例 · 用例
その小松は、何處からか光を受けてるらしく、丁度銀モールで飾られたクリスマスツリーのやうに、枝々が光榮にみちてぐるりに輝いてゐた。
— 水野仙子 『日の光を浴びて』 青空文庫
ふりかえって見ると、銀モールの太い紐をかけた潰し島田に白博多の帯をしめた浴衣姿の芸者がいて、男はその芸者屋の主人という風体である。
— 宮本百合子 『電車の見えない電車通り』 青空文庫
そこには詰襟のフロックコートへ銀モールをつけたような制服の守衛とくすんだ色の上被りをつけた四十前後の女のひとが二三人いて、婦人傍聴人は一人一人その女のひとがまたすっかり帯の下へまで手を入れて調べるのであった。
— 宮本百合子 『待呆け議会風景』 青空文庫
美々しく銀モールで刺繍をした赤い立襟や佩剣などが、もう眼の前にちらついて……彼は全身ブルブルとふるえだした。
— ニコライ・ゴーゴリ 『鼻』 青空文庫
彼女の肉襦袢の、腰の辺につけられた銀モールの刺繍が、トゲトゲと、黒吉の眼に沁み込んで、顫えていた。
— 蘭郁二郎 『夢鬼』 青空文庫
まず行列の最前列には、楽隊がずらりと並び、その後には金モールや銀モールの美しい、凛々しい服を身につけたポルトガル人が騎馬で、並んだのであります。
— 坂口安吾 『ヨーロッパ的性格 ニッポン的性格』 青空文庫
すると今度は、その軍服をとても丁寧にたたみ始め、上着の銀モールに至っては、指でなでつけ、房飾りもきれいにそろえた。
— IN DER STRAFKOLONIE 『処刑の話』 青空文庫
「ご婦人がたの贈物です」 彼は軍服の上衣を脱ぎ、それから完全に裸になるまでは、急いでいたらしかったにもかかわらず、一つ一つの衣料をひどく念入りに扱い、軍服についている銀モールは指で特別になで、ふさを振ってなおすのだった。
— IN DER STRAFKOLONIE 『流刑地で』 青空文庫