後れ毛
おくれげ
名詞
標準
straggling hair
文例 · 用例
西日が後れ毛の少し垂れ下つたのを透してるそれをみると――「さあ云へ」――今度は医者の方がセカセカした。
— 中原中也 『医者と赤ン坊』 青空文庫
しばらくの別れを握手に告ぐる妻が鬢の後れ毛に風ゆらぎて蚊帳の裾ゆら/\と秋も早や立つめり。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
束髪にはリボン一つかけていないのを知って、やや安心しながら、後れ毛のないようにかき上げた。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
そんな気持でしているのではないかもしれないが、そしてそうでない証拠にはすべての挙止がいかにもこだわりのない自然さを持っているのだが、後れ毛一つ下げていないほどそれを清く守っているのを見ると、どこといってつけ入る隙もないように見えた。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
髪はぐるぐる巻にして油つ気もないので後れ毛は容赦なく、骨ばつた頬のまはりに乱れて居た。
— 平出修 『夜烏』 青空文庫
何かの拍子に、その鐘が鳴ると目が覚めよう、と思う内…… 身動ぎに、この美女の鬢の後れ毛、さらさらと頬に掛ると、その影やらん薄曇りに、目ぶちのあたりに寂しくなりぬ。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
新らしい堂々たる山門に較べて、本堂はほんの後れ毛のやうに古くてみすぼらしい。
— 岡本かの子 『老主の一時期』 青空文庫
そして、赤い襦袢の襟とたぼの後れ毛との間の白粉燒のした襟足が、電燈の光にまざまざしく照し出されてゐるのが不愉快に蠱惑的だつた。
— 南部修太郎 『女盗』 青空文庫
作例 · 標準
例句