惴々
ずいずい
名詞
標準
文例 · 用例
彼の機嫌を損ねはせぬかと惴々焉として懼れるものの如くである。
— 幸福 『南島譚』 青空文庫
明日あたり突然と差押などを吃せられたら耐らんな」「余り蒲田が手酷い事を為るから、僕も、さあ、それを案じて、惴々してゐたぢやないか。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
吾人は我邦の公共事業の舞台に立つて役者たる者が、少しく気局を濶大にせん事を願うて止まざるなり、之を政治家に例すれば、県治の政事海にあるものは論争常に県治の中に跼蹐し、之れを全国の政事海に徴すれば、奔馬常に狭少なる民吏の競塲に惴々たるに過ぎざるなり。
— 北村透谷 『一種の攘夷思想』 青空文庫
内地雑居となった暁は向う三軒両隣が尽く欧米人となって土地を奪われ商工業を壟断せられ、総ての日本人は欧米人の被傭者、借地人、借家人、小作人、下男、下女となって惴々焉憔々乎として哀みを乞うようになると予言したものもあった。
— 内田魯庵 『二十五年間の文人の社会的地位の進歩』 青空文庫
門の呼鈴が鳴る度に惴々しては顫上る。
— アントン・チエホフ Anton Chekhov 『六號室』 青空文庫
二人は唖の如く――先生は悠々と黙しながら、片山氏は惴々焉として黙しながら――兎に角赤門まで辿り着いた。
— 辰野隆 『浜尾新先生』 青空文庫