滑油
かつゆ
名詞
標準
文例 · 用例
先方の出す手が棘々満面の手だろうが粘滑油膩の手だろうが鱗の生えた手だろうが蹼の有る手だろうが、何様な手だろうが構わぬ、ウンと其手を捉えて引ずり出して淵のヌシの正体を見届けねばならぬのである。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
大量生産、大量消費に向けて勢いよく資本主義のエンジンを回し続けるうえで、計算処理を自動化する道具は潤滑油の役割を果たした。
— 富田倫生 『パソコン創世記』 青空文庫
では、自転車に潤滑油をさしますね。
— 海野十三 『ふしぎ国探検』 青空文庫
二十七日のお手紙をありがとう(きょうは十月一日)生存上の潤滑油というのは全くです、総てのいいことはそこからというところもあります、わたしは、そういう油のたっぷりさのために、香油づけのオリーヴの実のようなのね、くさりもせず干からびもせず。
— 一九四四年(昭和十九年) 『獄中への手紙』 青空文庫
なぜなら、凡人の社会を動かしている潤滑油の七八割はそうした形式であり、そして大多数の人間は凡人だからである。
— 下村湖人 『青年の思索のために』 青空文庫
「月給前借術とか、弁当屋口説き落し術なんてえのは、芸術のうちに入らんかね」 足の勇は潤滑油が利いて、すっかり舌が軽くなって居ります。
— 野村胡堂 『笑う悪魔』 青空文庫
それはひどくビジネス・ライクではありませんが、洒落の潤滑油が入ると、掛合のテムポが早くなつて、案外要領よく運ぶのです。
— 飛ぶ女 『錢形平次捕物控』 青空文庫
スケートの鋭いエッヂに体重を載せた瞬間に、氷の面に恐ろしい圧が極めて細い線上にかかるために、氷点が降下してエッヂの下には水の薄膜が出来、それが潤滑油の作用をするためによく滑るというのがその物理的説明として通っているようである。
— 中谷宇吉郎 『スポーツの科学』 青空文庫