応人
おうにん
名詞
標準
文例 · 用例
門田朴斎の「書駒夢応人乗鶴、附驥情孤歳在辰」に、壬辰の辰字が点出せられてゐる。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
物売女は、一応人が集ったのに満足して、さて、これから自分をぶった女を本式に罵倒し、人だかりの力で復讐して貰おうとするように、頬っぺたを押えて、から泣きをしながら一息いれた。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
範疇や概念自身は論理的に無記であることを一応人々は承認すべきだ。
— 戸坂潤 『イデオロギー概論』 青空文庫
然しながら、作品に就いて目的を定め計画を案じ熟慮専念する時間がなくとも、少くとも小説作者の場合に於いては、一応人間に通じてゐることは絶対の条件であり、人間通の裏附は自我の省察で保たれるもの、そして常に一つの作品を書き終つたところから、新らたに出発するものだ。
— ――小林秀雄論―― 『教祖の文学』 青空文庫
文学は人間を書く仕事だから一応人間通でなければならぬ。
— 坂口安吾 『オモチャ箱』 青空文庫
一応人の心はよく分り、特に秀吉の小さな自我に虐げられ痛めつけられた人の不満はよく分つた。
— 坂口安吾 『我鬼』 青空文庫
常識に反すことも、所詮常識的ではあるが、その天性にからまるところの冷めたさが、あの冷然たる山岳のやうに、一応人に目覚める思ひを与えることもあるのであつた。
— ――夢と知性―― 『吹雪物語』 青空文庫
私の見たのは競輪ダービーという雑誌であるが、誤植などは殆ど見ることができないし、各人の実力の比較なども一応人が納得できるだけの資料と方法をつくしている。
— 道頓堀罷り通る 『安吾の新日本地理』 青空文庫