拭い
ぬぐい
名詞
標準
文例 · 用例
「ほんとに民子さん、きょうというきょうは極楽の様な日ですねイ」 顔から頸から汗を拭いた跡のつやつやしさ、今更に民子の横顔を見た。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
それが政さん、あなたの写真とあなたのお手紙でありまして……」 お祖母さんが、泣き出して、そこにいた人皆涙を拭いている。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
それで彼は独り、部屋で卓子を拭いてゐた。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
その一つに繻絆一枚で腰掛けて老人の読んでゐた新聞に、三十何年とか撒水車を挽いてゐるといふ男の笑つて汗を拭いてゐる写真が通りがかりに見えた。
— 中原中也 『夏の夜の話』 青空文庫
「五十人の生徒をあづかつてゐるのだから、その人間が自分一人の用事のために学校を休むなぞといふことはなりません」と、叔母は茶棚を片附けながら、押入れの中を拭いてゐる僕に喋舌りつづけてゐた。
— 中原中也 『引越し』 青空文庫
蝶ヶ岳から短沢へ下りて来た自分は、先ずこの清い流れに嗽ぎもし、頭も洗い、顔も拭いた、気が遠くなるような悪臭の蕕草を掻き分けたことや、自分の肩から上を気圏のように繞ぐっていた蚋の幾十|陣団やに窒息するかと苦しんだことも、夢の谷へ下りては、夢のように消えて、水音は清々しい。
— 小島烏水 『梓川の上流』 青空文庫
」「おい、その辺に僕の手拭いが無いか。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
後で教えてあげるから、手紙はその辺に置いといて、僕の手拭いを持って来てくれないか。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫