老い朽ちる
おいくちる
動詞
標準
文例 · 用例
まだ若い身空を、この灰色の庵室に老い朽ちるに委せるなどとは、なんとしても忍びないことのように思われた。
— 海野十三 『鍵から抜け出した女』 青空文庫
そうするとお前は、何処ぞの監獄でじりじりと老い朽ちる外はなかったんだ。
— モーリス・ルヴェル Maurice Level 『暗中の接吻』 青空文庫
鹽釜港今に、いまに燈がともらうあまりにほのかな櫻と海とのうすうすとした眞晝の風のなかに漁船の祭りの旗から魚賣の天幕から太平洋の色やかなる月影がともり、燈がともり岩と古い家家のある木の間に老い朽ちる松島の影をはなち、濤をゆるめる古雅な港がひつそりとして北部日本の夜の繪を旅人の眉に懸げようと。
— 佐藤惣之助 『季節の馬車』 青空文庫
ルピツク夫人の老い朽ちる有様を眼のあたり見る「にんじん」四十歳の心境であらう。
— 岸田國士 『「にんじん」の訳稿を終へて』 青空文庫
しかし天下の大盗と言われたお狩場の四郎はこのまま老い朽ちる気は毛頭ない。
— 巨盗還る 『銭形平次捕物控』 青空文庫
永年の間、天台の古学にも救われず、秋葉の蓮華寺に、ただ老い朽ちる私であった所を、そのころ、一筋に浄土門へ入って、名も恋西と申されていた熊谷入道どのにふとお目にかかり、吉水にかかる上人のおわすと聞いて、一途に都へ上ってきたのでございました。
— 吉川英治 『親鸞』 青空文庫