落窪物語
おちくぼものがたり
名詞
標準
Ochikubo Monogatari
文例 · 用例
これについての私の調査はまだ極めて不完全であるが、私が気づいた例の中最も古いのは『落窪物語』の文であって、同書には「面白の駒」と渾名せられた兵部少輔について、「首いと長うて顔つき駒のやうにて鼻のいらゝぎたる事かぎりなし。
— 橋本進吉 『駒のいななき』 青空文庫
すなわち池田亀鑑氏の調査によれば、ここの本文が「ひゝ」とあるのは上田秋成の校本だけであって、中村秋香の『落窪物語大成』には「ひう」とあり、伝|真淵自筆本には「ひと」とあり、更に九条家旧蔵本、真淵校本、千蔭校本その他の諸本には皆「いう」となっている。
— 橋本進吉 『駒のいななき』 青空文庫
江戸時代に入って、鹿野武左衛門の『鹿の巻筆』(巻三、第三話)に、堺町の芝居で馬の脚になった男が贔屓の歓呼に答えて「いゝん/\と云ながらぶたいうちをはねまわつた」とあるが、この「いゝん」は『落窪物語』の「いう」と通ずるもので、馬の嘶きを「イ」で写す伝統が元禄の頃までも絶えなかったことを示す適例である。
— 橋本進吉 『駒のいななき』 青空文庫
こういう意味において、源氏物語や落窪物語のようなものは、中等学校の歴史教科書よりも、文化国の大新聞の記事よりも、はるかに忠実な記録であり実証的な資料として役立つものである。
— 寺田寅彦 『科学と文学』 青空文庫
優婉な紫の上が光君と一緒に、周囲の女性たちにおくる反物を選んでいるところはあるけれど、落窪物語はやはり王朝時代に書かれた物語ではあるけれども、ここに描かれている人たちは源氏物語のように時代にときめく藤原の大貴族たちではない。
— ――誰がために―― 『衣服と婦人の生活』 青空文庫
落窪物語なども、改作によつて平安朝の特色を失うた処もあり、文法も時代にあはなくなつて了うたらしく、偽作ではなくて、やはり書き継ぎ書き加へたものである。
— 唱導的方面を中心として 『国文学の発生(第四稿)』 青空文庫
落窪物語に、はしたわらはのあるに、さうぞきかへさせて……罵りて出で給ひぬれば、…… 宝物集に、宮腹なるはしたものと志深く思ひけるが、…… 殿暦康和五年十一月十五日の条に、殿上人遊間、余(藤原忠実)候御簾内。
— 喜田貞吉 『間人考』 青空文庫
おちくぼのさうしめでたや土用干 桃先 土用干の本の中に『落窪物語』があったというだけでは、元禄の句としても単純に過ぎるが、この句には「おちくぼのさうし、大伯母妙貞の娵入道具の一つとかや」という前書がついている。
— 柴田宵曲 『古句を観る』 青空文庫
作例 · 標準
例句
ウィキペディア
『落窪物語』(おちくぼものがたり)は、10世紀末頃に成立したとされる中古日本の物語である。全4巻。作者は不明。源順、源相方などが候補に挙がっており、巻四は清少納言が書き加えたとする説まであるが、いずれも確定に至っていない。
出典: 落窪物語 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0