織元
おりもと
名詞
標準
文例 · 用例
」 銀子も言っていたのだったが、ある時|越後の親類の織元から、子供たちに送ってくれた銘仙を仕立てて着せた時の悦びも、思い出すと涙の種であった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
」 それを聞くと市長の久世氏は、その日その日のお天気の結構なのも、飼狗の立派なのも、この中の市街の景気のいゝのもみんな自分の故のやうに思はれて、通りがかりの市会議員も博多織の織元も、狗も、電信柱も、一緒に腰を屈めて自分の前にお辞儀をして居るやうに思はれ出した。
— 大正八(一九一九)年 『茶話』 青空文庫
京都の織元で織り上げたところで疵が出来たから、こうして切って売るんだ。
— 夢野久作 『街頭から見た新東京の裏面』 青空文庫
ちょうど大呉服店の注文を受けた織元が、いちいち製品を厳密に検査されて、ちょっとした傷物でも容赦なくはねられるような風である。
— 平林初之輔 『昭和四年の文壇の概観』 青空文庫
赤い赤絹の布がどこにもないのです、織元でひき合わぬ由。
— 一九四〇年(昭和十五年) 『獄中への手紙』 青空文庫
薄いレモン地に臙脂の細い立縞をよろけさせたお召に、名物裂の両面|綴の帯……山浦が織元をやめてひっこむ前に、一反だけ織った織留めの秀逸で、フランス代表部のモイーズさんが「無左右」の絶品だって折紙をつけたくらいのものでしょう。
— 久生十蘭 『姦(かしまし)』 青空文庫
……今度|結城の織元で、鶴屋仁右衛門といって下総一の金持なんですが、その姉娘と縁組ができ、結納がなんでも三千両とかいう話。
— 山王祭の大象 『平賀源内捕物帳』 青空文庫
織元のお嬢さんとは比べものにはなりますまいが、人間の真情は金じゃ買われない。
— 山王祭の大象 『平賀源内捕物帳』 青空文庫