遣り過ごす
やりすごす
動詞
標準
文例 · 用例
つい眼の前をのろ/\と横切つて行く雫を垂らした馬鹿氣て大きな電車を遣り過ごす間、今まで何所かへ押やられてゐた二人の間の親しみの義務を、この間にお互の中に取り戻しておかなくてはならないといふ樣な顏付きで、みのるは男の顏を見詰めてわざと笑つた。
— 田村俊子 『木乃伊の口紅』 青空文庫
けれど、それを遣り過ごすと暫くしてから、「お、鍵は?
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
ハリケーンのシーズンを、あの島でやりすごせるはずがありません。
— 片岡義男 『波乗りの島』 青空文庫
久保は膝の上で、雑誌をめくりながら二三台の電車をやり過すのであつた。
— 牧野信一 『階段』 青空文庫
どうにかなるやうに任せて、時間のたつのをやり過すより仕方がないのかも判らない。
— 林芙美子 『浮雲』 青空文庫
警戒に歩いているのではない、おつとめに歩いているのだから、そんなに怖がることはない、縄をひかえて物蔭に立寄る間に、やり過すことは水を掻くようなものである。
— 弁信の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
それはまた、そっと猟師をやり過すことである。
— HISTOIRES NATURELLES 『博物誌』 青空文庫
――どうかすると茂兵衞をやり過すために、手水場の戸の蔭に、一寸身を隱したかも知れない。
— 一番札 『錢形平次捕物控』 青空文庫