偶然にも
ぐうぜんにも
副詞
標準
by chance
文例 · 用例
それが、今度偶然にも、自分の無力をすつかり感じ、その時から、次第に、詩といふものゝ真義も分つて来るやうに思へ出した。
— 中原中也 『詩壇への抱負』 青空文庫
偶然にも貧民階級の上にだけ生活があつた!
— 中原中也 『生と歌』 青空文庫
オールド・ロング・サインを歌い、炉辺の団欒を思い、その郷愁を白い雲にイメージする英吉利文学のリリシズムは、偶然にも蕪村の俳句において物侘しく詩情された。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
私がこのセント・オラーフの最期の顛末を読んだ日に、偶然にも長女が前日と同じ曲の練習をしていた。
— 寺田寅彦 『春寒』 青空文庫
何とならば、ある特別な機会には、流言の源となり得べき小さな火花が、故意にも偶然にも到る処に発生するという事は、ほとんど必然な、不可抗的な自然現象であるとも考えられるから。
— 寺田寅彦 『流言蜚語』 青空文庫
所が偶然にも、最近この文藝春秋の記事からして、僕の常識に對する見解に大なる動搖が生じて來た。
— 萩原朔太郎 『常識家の非常識』 青空文庫
これは、偶然にも、アンリ・バルビュスの「クラルテ」と同年(一九一九年)に発表された。
— 黒島伝治 『反戦文学論』 青空文庫
そしてわずか一と月ほどの間に、あの療養地のN海岸で偶然にも、K君と相識ったというような、一面識もない私にお手紙をくださるようになったのだと思います。
— ――或はKの溺死 『Kの昇天』 青空文庫