舎新
しゃしん
名詞
標準
文例 · 用例
その頃の彼の悪戯の傑作は、Milton の sonnets をそのまま自作のような顔をして田舎新聞に投書したことである。
— 寺田寅彦 『レーリー卿(Lord Rayleigh)』 青空文庫
ペンタゴンなんか相手にしていたんじゃなあ……柿江なんぞも、田舎新聞にひとりよがりな投書ぐらい載せてもらって得意になっていないで、ちっと眼を高所大所に向けてみろ。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
否な独り同人ばかりでなく、先生の紹介によって、先生の宅に出入する幕賓連中迄|兀々として筆をこの種の田舎新聞に執ったものだ。
— 泉鏡花 『おばけずきのいわれ少々と処女作』 青空文庫
虚偽の記事を掲げた田舎新聞一つ詫まらせる事が出来ない。
— 夏目金之助 『坊っちやん』 青空文庫
毎日日課として、八種ほどの田舎新聞の続き物を何の苦もなく書上げ、その上道頓堀の芝居見物や、古本あさりや、骨董いじりなどに、一日中駈けずり廻って、少しの疲労をも見なかったほど達者な人だったが、歿くなる折には、まるで朽木が倒れるように、ぽくりと往ってしまった。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
唯八百の読者では、いくら田舎新聞でも維持して行けるものでないのに、不思議な事には、職工の数だつて敢て「日報」より少い事もなく、記者も五人居た所へ、また一人菊池を入れた。
— 石川啄木 『菊池君』 青空文庫
最後が岡山の山陽新報社に口があったを幸いに落延びて、馬骨と改名して田舎新聞に隠れたが、一時馬骨の名が岡山に振ったほど地方新聞小説家としてはかなりに幅を利かした。
— ――尾崎紅葉―― 『硯友社の勃興と道程』 青空文庫
二流以下の作家は、作品を発表する舞台を失って、田舎新聞へ追いやられる。
— 平林初之輔 『昭和四年の文壇の概観』 青空文庫