享受者
きょうじゅしゃ
名詞
標準
recipient
文例 · 用例
それは思想の提供者を空しく働かせ、享受者を空しく苦しめる。
— 有島武郎 『惜みなく愛は奪う』 青空文庫
芸術が繁昌するのは芸術家と享受者の間に個性の一致があるからだろう。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
たといこの美的感情移入が、享受者の実生活ではなくて、ただ空想の世界の出来事に過ぎぬとしても、それはまだ実現せられないより高き自己を自分の前に展開して見せることによって、実生活にいい刺戟を与え、実行の動機を産み出すことがある。
— 和辻哲郎 『古寺巡礼』 青空文庫
そして何故にこれらの国において人口増加がおそいかという理由は、労働に対する需要が小であるため土壌の生産物の分配を妨げられるという事実であり、そしてこの生産物の分配なるものは、土地の分割が依然同一であっても、それのみで、社会の下層階級をしてその土地が与える豊かな産物の享受者たらしめ得るものである。
— AN ESSAY ON THE PRINCIPLE OF POPULATION 『人口論』 青空文庫
従って、作家も享受者も、その人の全体としての心的生活、全体としての気分を以て之に対するよりも、智識の力、頭脳の力でそれを取り扱うという傾がある。
— 津田左右吉 『芸術と社会』 青空文庫
だが芸術雑誌の読者も公衆ならばキングやラジオの享受者も公衆なのだから、そういう公平な中間的な範疇ではジャーナリズムとアカデミズムとは、弁証法的になど媒介はされない。
— 戸坂潤 『思想としての文学』 青空文庫
この点、他の人に於てはそうは云えないかも知れないが、少なくとも彼に於ては、彼の世俗的なものへの関心につながるものがあるのであって、殆んど凡ゆるものに対する彼の自由主義者的態度、云わゆる良き享受者としての彼の態度には、割合好き嫌いをしない彼の肉体的食欲が案外根柢となっているかも知れない。
— 戸坂潤 『思想としての文学』 青空文庫
小林を逆説的饒舌家として、極めて常識的に規定したが、谷川は一種の享受者として特色づけられるべきである。
— 戸坂潤 『思想としての文学』 青空文庫