板縁
いたえん
名詞
標準
文例 · 用例
床の下……板縁の裏の處で、がさ/\がさ/\と音が發出した……彼方へ、此方へ、鼠が、ものでも引摺るやうで、床へ響く、と其の音が、變に、恁う上に立つてる私の足の裏を擽ると云つた形で、むづ痒くつて堪らないので、もさ/\身體を搖りました。
— 泉鏡太郎 『人魚の祠』 青空文庫
場所は切支丹屋敷内であって、その法庭の南面に板縁があり、その縁ちかくに奉行の人たちが着席し、それより少し奥の方に白石が坐った。
— 太宰治 『地球図』 青空文庫
大通事は板縁の上、西に跪き、稽古通事ふたりは板縁の上、東に跪いた。
— 太宰治 『地球図』 青空文庫
シロオテは板縁にひろげられたその地図を首筋のばして覗いていたがやがて、これは明人のつくったもので意味のないものである、と言って声たてて笑った。
— 太宰治 『地球図』 青空文庫
きょうは、だいいちばんに、あのオオランド鏤版の地図を板縁いっぱいにひろげて、かの地方のことを問いただしたのである。
— 太宰治 『地球図』 青空文庫
冬の夕まぐれの茶の間の板縁で古新聞を引破ってのホヤ掃除をした経験をもたない現代青年が、明治文学に興味の薄いのは当然かもしれない。
— 寺田寅彦 『追憶の冬夜』 青空文庫
自分が四歳の時に名古屋にいたころのかすかな思い出の中には、どこか勝手口のような所にあった高い板縁へよじ上ろうよじ上ろうとしてあせったことが一つの重大な事項になっているのである。
— 寺田寅彦 『銀座アルプス』 青空文庫
台所の土間の板縁の下に大きな素焼きの土瓶のようなものが置いてあった。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫