書き割り
かきわり
名詞
標準
文例 · 用例
これらの邦劇映画を見て気のつくことは、第一に芝居の定型にとらわれ過ぎていることである、書き割りを背にして檜舞台を踏んでフートライトを前にして行なって始めて調和すべき演技を不了簡にもそのままに白日のもと大地の上に持ち出すからである。
— 寺田寅彦 『映画時代』 青空文庫
靜子のモデル繪はただ一ときの評判で、それツ切り世の中から忘れられたが、大野と靜子との眞面目な共同仕事は、現今、新式の芝居の書き割りなどに現はれて、着々渠の素養と技巧とを見せてゐる。
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
今は何者が住んでゐるか知らないが、そこの通りを過ぎるたんびに義雄は、大野の盛んな現状に自分を引き比べて、氣のゆるんだやうな、失意のやうな、嫉妬のやうな感じに打たれたり、また芝居の書き割りなんて金の取れるだけであつて、その仕事は何の價値もないと云ふやうな別な競爭心を起したりした。
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
大野は矢ツ張り利口だ――自己の生活を確かめる爲めに、同じ性質の仕事でも、成るべく世間に知られ易い芝居の書き割りのやうな物に向いて行つた。
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
何をしたツて、自己の發展なら、おのれの主義と主張とはとほる筈だ――早く一つ書き割りなどよりもずツと有形的な事業をして、名譽と金錢とを自分の内容的實力と共に兩得して見たい。
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
深井は幕切れに大喝采を得て縫いぐるみの姿で得意そうに引上げる時、暗い書き割りのかげから『お父さん』と言って自分に飛びついたものがある。
— 岩野泡鳴 『猫八』 青空文庫
」「例の、ね、書き割りの監督に行つてたの、さ――いつまで寒いと云ふのだらう?
— 毒藥を飮む女 『泡鳴五部作』 青空文庫
大野は話題を轉じて、畫家の社會、殊に劇場の書き割り畫家の社會に、卑劣な人物が多いことなどを憤慨し始めた。
— 毒藥を飮む女 『泡鳴五部作』 青空文庫