抜穴
ぬけあな
名詞
標準
文例 · 用例
蝕あり、変あり、兵あり、乱ある、魔に囲まれた今日の、日の城の黒雲を穿った抜穴の岩に、足がかりを刻んだ様な、久能の石段の下へ着くと、茶店は皆ひしひしと真夜中のごとく戸を鎖して、蜻蛉も飛ばず。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
大名の住めりし邸なれば、壁と見せて忍び戸を拵え置き、それより間道への抜穴など、旧き建物にはあることなり。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
恵子が淫売で拘留されたことがあるとか、家の裏に抜穴があるとか、もっと詳しいことが噂立った。
— 小林多喜二 『雪の夜』 青空文庫
第一、どう潜ったのか――あいつら夜になっても、ああして張るつもりだろうが、お前、川の中に、抜穴かなんか、あるのだぜ。
— 直木三十五 『三人の相馬大作』 青空文庫
さっき、抜穴のなかで、まんまと、猫女にまきあげられたよ。
— 海野十三 『少年探偵長』 青空文庫
「法王庁の抜穴」を書き終ったところであったジイドは、この宗教的格闘では目覚ましい粘着力を示した。
— 宮本百合子 『ジイドとそのソヴェト旅行記』 青空文庫
果して山神の石祠の下に、抜穴が深く通じていた。
— 江見水蔭 『怪異黒姫おろし』 青空文庫
きつと何処にか抜穴を付けとくって云うぜ。
— 永井荷風 『狐』 青空文庫