幻辞.com

廃頽

はいたい
名詞
1
標準
文例 · 用例
ある人はこれを社会経済状態の欠陥のせいだと信じ、またある人は唯物論的思想の流行による国民精神の廃頽のせいだと思い込む。
寺田寅彦 猫の穴掘り 青空文庫
もっともこの中立地帯の産物はその地帯の両側にある二つの世界の住民から見るとあるいは廃頽的と見られあるいは不徹底とののしられるかもしれない。
寺田寅彦 映画雑感(※) 青空文庫
大阪の天王寺の五重塔が倒れたのであるが、あれは文化文政頃の廃頽期に造られたもので正当な建築法に拠らない、肝心な箇所に誤魔化しのあるものであったと云われている。
寺田寅彦 颱風雑俎 青空文庫
それに、いまでは、ブルジョアイデオロギーの悪徳が、かつての世の思潮に甘やかされて育った所謂「ブルジョア・シッペル」たちの間にだけ残っているので、かえって滅亡のブルジョアたちは、その廃頽の意識を捨てて、少しずつ置き直っているのではないか。
燭をともして昼を継がむ。 花燭 青空文庫
此の都の魅力に対する憎みを語って語り抜いて彼女から一雫でも自分の為めに涙を流して貰ったら、それこそ自分の骨の髄にまで喰い込んでいる此の廃頽は綺麗に拭い去られるような気がする。
岡本かの子 巴里祭 青空文庫
褄は花の如く開かねば趣ないといふ廃頽的の江戸趣味も困るが、この理由をもつて、だからこそ和服も行灯式のスカートにせよといふ改良論者はまた行き過ぎる。
――何人か良案はないか?―― 風と裾 青空文庫
かの女のあまり好かないこんな自堕落らしい様子をしても、この青年は下品にも廃頽的にも見えない。
岡本かの子 高原の太陽 青空文庫
大都会の下町――そこにはあらゆる文化と廃頽の魔性の精がいて、この俊敏な青年の生命をいつかむしばみ白々しい虚無的な余白ばかりを残して仕舞った。
岡本かの子 高原の太陽 青空文庫