あらぬ事
あらぬこと
表現
標準
the unthinkable
文例 · 用例
おまへの抱かれて居るは誰何、知れるかえと母親の問へば、言下に兄樣で御座りましやうと言ふ、左樣わかればもう仔細は無し、今話して下された事覺えてかと言へば、知つて居まする、花は盛りにと又あらぬ事を言ひ出せば、一同顏を見合せて情なき思ひなり。
— 樋口一葉 『うつせみ』 青空文庫
お前の抱かれてゐるは誰君、知れるかへと母親の問へば、言下に兄様で御座りませうと言ふ、さうわかればもう子細はなし、今話して下された事覚えてかと言へば、知つてゐまする、花は盛りにと又あらぬ事を言ひ出せば、一同かほを見合せて情なき思ひなり。
— 樋口一葉 『うつせみ』 青空文庫
お前の抱かれて居るは誰君、知れるかへと母親の問へば、言下に兄樣で御座りませうと言ふ、左樣わかれば最う子細はなし、今話して下された事覺えてかと言へば、知つて居まする、花は盛りにと又あらぬ事を言ひ出せば、一同かほを見合せて情なき思ひなり。
— 樋口一葉 『うつせみ』 青空文庫
いと嬉しうて、今やこの事かたり出ん、しばししてや驚かすべき、さこそは人の羨やましがるべきをと、嬉しきにも猶はゞかられつゝ、あらぬ事ども言ひかはすほどに、折しもかの子規軒端に近う鳴く声のする。
— 樋口一葉 『すゞろごと』 青空文庫
冬は多く北風吹き、火のあやまちは冬多きものなれば、怪むべくもあらぬ事ながら、東京の大火を叙せんとて、心も無く、北へ行く雲に火の色うつりて天は紅霞のわたれるが如し、など別の故も無きに筆を舞はして記さば、如何に見苦しきものに老いたる人などの見なさん。
— 幸田露伴 『雲のいろ/\』 青空文庫
私は興奮し、あらぬ事を口走った。
— 太宰治 『親という二字』 青空文庫
言う事は、少しも取りとめがなく、すぐ、ぷんと怒るかと思えば、矢鱈に笑ったり、そうかと思えば大勢の臣下のいる前で、しくしく泣いて見せたり、また、あらぬ事を口走って王に、あなた、食ってかかったりするのです。
— 太宰治 『新ハムレット』 青空文庫
王妃さまから、子の母として御真情を承り、つい胸が一ぱいになって、あらぬ事まで口走りました。
— 太宰治 『新ハムレット』 青空文庫
作例 · 標準
彼はあらぬ事をして会社を首になった。
あらぬ事をされないよう警備は厳しくしている。
古文ではあらぬ事が物語の転機になる。
法律家はあらぬ事の責任について論じた。