稲瀬
いなせ
名詞
標準
文例 · 用例
稲瀬川を渡る時、倉地は、横浜|埠頭で葉子にまつわる若者にしたように、葉子の上体を右手に軽々とかかえて、苦もなく細い流れを跳り越してしまったが、滑川のほうはそうは行かなかった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
御下屋敷には以前からお留守居をしている稲瀬十兵衛という老人のお侍夫婦のほかに、お竹とお清という二人の女中が居りました。
— 岡本綺堂 『三浦老人昔話』 青空文庫
ほかの女中――お竹とお清とは、前にも申した通りの山出しですから心配はありませんが、ただ不安心なのは留守居の侍の稲瀬十兵衛夫婦でございます。
— 岡本綺堂 『三浦老人昔話』 青空文庫
いつの間にどうして忍んで来たのか知りませんが、彼の稲瀬十兵衛が真先に立って、ほかの四人の侍や若党がこのお居間へつか/\と踏み込んでまいりました。
— 岡本綺堂 『三浦老人昔話』 青空文庫
稲瀬川の勢揃いに花道の出をはぶいて、幕をふり落とすと五人男が立ち列んでいることにした。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫
大勢で棒を担いで並ぶのは「稲瀬川勢揃い」。
— 夢野久作 『オンチ』 青空文庫
ホテルの涼場の下を通って、稲瀬川のそばまで行くと、別荘の屋根が見える。
— 水上滝太郎 『九月一日』 青空文庫
月明の渚を霊山ヶ崎まで歩いたが、途中でひたひたの稲瀬川を渡る時は、多少|躊躇している翠子を、無理におぶって渡った。
— 水上滝太郎 『九月一日』 青空文庫