振りもぎる
ふりもぎる
動詞
標準
文例 · 用例
その頃、偶然のことで余に見つかると彼は、火のやうに赤くなつて、踊りの最中、相手を振りもぎるがいなや湯殿の中にかくれて、どうしても顔を現はさなかつたことがあつた。
— 牧野信一 『西瓜喰ふ人』 青空文庫
俺は酔っているんじゃねえぞ」 尚も管を巻くのを、洋服男は堪えかねて上衣を掴んだ手を振りもぎると、酔払いはよろ/\とよろめいて危く転びかけたが、やっと踏み止まると、さあ承知しない。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
」「台湾坊主で、あの丸髷はかつらなんだ」 と言ふと、吃驚してネ、そのまゝ酔も何もさめ果てゝしまつて、「帰らう、帰らう」 と言つて、どんどん帰り仕度して、女のとめるのを振りもぎる様にして、逃げて来たことがあつたよ。
— 関根金次郎 『本因坊と私』 青空文庫
電車の上から彼女が、堅く引緊めた頬に微笑を浮べて、伏目がちにこちらを透し見やった時、彼は振りもぎるような気持で、つと歩き出した。
— 豊島与志雄 『反抗』 青空文庫
『よくも俺はああまで自分を卑しめることができたもんだ……大事なものから身を振りもぎることがな!
— ドストエーフスキイ 『永遠の夫』 青空文庫
「おや、撲ったな」 さあ米友が承知しない、両の腕に力を籠めてうんと振りもぎると、押さえていた二三人がよろよろとよろけて手を放す。
— 東海道の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
お雪でなければ、まあ、くすぐったいと、はしゃいで振りもぎるところでしょう。
— 年魚市の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
これには何か間違いがありましょう、どうぞ――」 心配そうな顔を出す重三を振りもぎるように、「どうも仕方がありません。
— 怪伝白い鼠 『銭形平次捕物控』 青空文庫