金側
きんがわ
名詞
標準
a gold case
文例 · 用例
「じゃあ、僕は失敬するよ」佐竹は小声でそう呟き、金側の腕時計を余程ながいこと見つめて何か思案しているふうであったが、「日比谷へ新響を聞きに行くんだ。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
勿論僕は快く彼にそれを与えた上、さらに、恰度持ち合せていた阿母の片見の金側時計、古風な厚ぼったい唐草の浮彫のしてある両蓋の金側時計を副えて贈りました。
— 渡辺温 『象牙の牌』 青空文庫
」佐竹は小聲でさう呟き、金側の腕時計を餘程ながいこと見つめて何か思案してゐるふうであつたが、「日比谷へ新響を聞きに行くんだ。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
「それでおなくなり物は手鞄が一個、懷中時計――金側でございますね――が一個、それからあなたとあなたの紙入――金額は?
— 南部修太郎 『女盗』 青空文庫
年のころは四十五六で、あの当時のことですから顔は日に焼けて真っ黒でしたが、からだの大きい、元気のいい、見るから丈夫そうな男で、骨太の腕には金側の腕時計などを嵌めていました。
— 岡本綺堂 『指輪一つ』 青空文庫
今日はなぜか、 二度も、三度も、 金側の時計を一つ欲しと思へり。
— ―一握の砂以後― 『悲しき玩具』 青空文庫
」 権四郎爺は、帯の間から金側時計を引抜いて、それを覗きながら腰を上げた。
— 佐左木俊郎 『黒い地帯』 青空文庫
「実はあの保険建築会社の小車梅の件なのでございますがね」 彼は黒樗文絹の帯の間を捜りて金側時計を取出し、手早く収めつつ、「貴方どうせ御飯前でゐらつしやいませう。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫