思い出し笑い
おもいだしわらい
名詞動詞-サ変動詞-自動詞
標準
reminiscent smile
文例 · 用例
また自分のことでないことに公憤を起こしまして、自分の心にだけ置いておくことに我慢のできぬような時、けれども自分の妻はこんなことのわかる女でないのだと思うと、横を向いて一人で思い出し笑いをしたり、かわいそうなものだなどと独言を言うようになります。
— 帚木 『源氏物語』 青空文庫
検疫官の官舎の白い壁も、そのほうに向かって走って行くモーター・ボートも見る見る遠ざかって小さな箱庭のようになった時、葉子は船長室でのきょうの思い出し笑いをしながら、手欄を離れて心あてに事務長を目で尋ねた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
6 さて、引き揚げてしまってからの右門が、そろそろとまたむっつり右門の右門たるところを遠慮なく発揮しだしましたので、毛抜きを取り出しながらあごひげの捜索を始めたのもその一つですが、それよりもっと変なことは、ときどきにやりとひとりで思い出し笑いをやりながら、「もう来そうなものだな。
— 卍のいれずみ 『右門捕物帖』 青空文庫
思い出し笑いなんぞおよしなせえよ。
— 卍のいれずみ 『右門捕物帖』 青空文庫
まあ、その話に可笑味があるという程度のものですが、それでもおかしいと云えば確かにおかしい」 いわゆる思い出し笑いと云うのであろう。
— 廻り燈籠 『半七捕物帳』 青空文庫
そしてただ時々、声を立てずに思い出し笑いをしたり、そうかと思うと、『俺は恋しているのだ、これがそれなのだ、これが恋なのだ』という想念に突き当って、胸の底がひやりとするのだった。
— ツルゲーネフ 『はつ恋』 青空文庫
臍の下を住家として魂が何時の間にか有頂天外へ宿替をすれば、静かには坐ッてもいられず、ウロウロ座舗を徘徊いて、舌を吐たり肩を縮めたり思い出し笑いをしたり、又は変ぽうらいな手附きを為たりなど、よろずに瘋癲じみるまで喜びは喜んだが、しかしお勢の前ではいつも四角四面に喰いしばって猥褻がましい挙動はしない。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
内儀さんは背の低い、品のない、五十四、五の女で、良人に羽織を着せる時、丈一杯|爪立てする様子を、お庄は後で思い出し笑いをしては、年増の仲働きに睨まれた。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫