泊まり客
とまりきゃく
名詞
標準
文例 · 用例
夜になったら泊まり客があるかもしれないと女中のいった五つの部屋はやはり空のままで、日がとっぷりと暮れてしまった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
なにぶんにも当夜は百四五十人の泊まり客で、二階も下もいっぱいの混雑、殊に火を消した暗闇の最中で、何がどうしたのか一向に判りません」と、文右衛門は云い訳らしく云った。
— 二人女房 『半七捕物帳』 青空文庫
町も旅館もひっそりしていて、宿には他の泊まり客もなく、自分の食膳も馬のまぐさも部屋のともしびもみな不自由なしに整えられた。
— 録異記 『中国怪奇小説集』 青空文庫
そこで、ここらの地方の宿屋では小箱のうちに蜈蚣をたくわえて置いて、泊まり客に注意するのである。
— 池北偶談 『中国怪奇小説集』 青空文庫
それも時の災難と諦めるよりほかはないが、ゆうべこの宿にはほかに一人も泊まり客が無かったということであるから、差しあたっては宿の者に疑惑をかけたくなる。
— 岡本綺堂 『探偵夜話』 青空文庫
彼女は宿の者を疑うと言っているが、ほかに泊まり客が一人もない以上、自分もたしかに有力な嫌疑者であることをまぬがれないと古河君は思った。
— 岡本綺堂 『探偵夜話』 青空文庫
ここの家もむかしは大きい宿屋であったらしいのですが、今は養蚕か何かを本業にして、宿屋は片商売という風らしいので、今夜もわたし達のほかには泊まり客もないようでした。
— 岡本綺堂 『指輪一つ』 青空文庫
泊まり客か宿の人か知らないが、いずれにしても婦人――ことに若い婦人が夜ふけて入浴しているところへ、僕のような若い男が無遠慮に闖入するのは差控えなければなるまい。
— 岡本綺堂 『指輪一つ』 青空文庫