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無形物

むけいぶつ
名詞
1
標準
文例 · 用例
附加へて云ふなら、音といふ無形物に形を与へる作曲といふ仕事には、最も男性的能力を必要とするといふ、ワイニンゲルの考へを、芸術のこととさへいへば、低俗な意味での「好きこそ物の上手なれ」で片附けてしまふ我が常識界に、及ばず乍ら徹定させてみたいと思ふのである。
中原中也 我が詩観 青空文庫
これ猶今の所謂神經といふものを無形物と見做して而して其の作用を氣と名づけたるが如くに見える。
幸田露伴 努力論 青空文庫
これなどは今のいわゆる神経というものを無形物と見做して、そしてその作用を気と名づけたように見える。
幸田露伴 努力論(現代訳) 青空文庫
有形物について云う事は無論であるが無形物についてもよく使う字である。
夏目漱石 文芸の哲学的基礎 青空文庫
ウルリーケの血管に、まさか一滴の血もない気遣いはないが、もし青白い光の前に立たせたとしたら、あの女は無形物のように透きとおってしまうだろう。
小栗虫太郎 潜航艇「鷹の城」 青空文庫
然れども、極めて雑駁に、極めて独断的に之を解けば、前に「快楽」の起原に就きて曰ひたる如く、人間は欲の動物なるが故に、その欲と調和したる度に於て、自家の満足を得る為に、意と肉とを適宜に満足せしむるが為に、必要とする器物もしくは無形物を願求するの性あること、之れ実用の起原なり。
北村透谷 明治文学管見 青空文庫
無形物だけに、つかまへることが非常に難かしい。
田山録弥 小説新論 青空文庫