為熟し
しこなし
名詞
標準
文例 · 用例
そして位をもちつゝ行届いたしこなしに、斜に向い合った新吉は鏡に照らされるような眩しい気配いを感ずるばかりで、とてもカテリイヌの顔をいつまでも見つめて居られなかった。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫
中の三四人、序に運んで来た材木切れをそこに置き、身体の埃を打ち叩き、着物をかい繕ろいなどしつつ作業を仕舞ったしこなし。
— 岡本かの子 『取返し物語』 青空文庫
松本吉彦にとって、アルトの子供を生み出す作業は、これまでも繰り返しこなしてきたマシンの開発作業とは決定的に異なる何かを持っていた。
— 富田倫生 『パソコン創世記』 青空文庫
螺の壺々口に莞然と含んだ微笑を、細根大根に白魚を五本並べたような手が持ていた団扇で隠蔽して、耻かしそうなしこなし。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
此処は、脚本には、「深見少しこなしあつて、云々」と言ふとがきがありました様に思ひますが、此だけでは、実は、作者のつもりは知れないのです。
— 折口信夫 『芝居に出た名残星月夜』 青空文庫
まあ、一口に言えばうまく役をしこなしたわけなんです。
— フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー 『罪と罰』 青空文庫
ある時、平山孝蔵という先生へも行って、いつもいつも和漢の英雄の咄を聞いては、みんなをしこなしていた。
— 京の夢おう坂の夢の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
が、何よりも僕を感動させたのは、この物語の女主人公ジェルヴェエズに扮するリイヌ・ノロといふ女優が、十三年前、巴里ヴィユウ・コロンビエ座の学校で、一緒にコポオの講義を聴いてゐた一研究生であり、その少女が、今、スクリインの上で、この大役を堂々としこなして、天晴れな成長ぶりを見せてゐることだつた。
— 岸田國士 『女優リイヌ・ノロのこと』 青空文庫