鋳
い
名詞
標準
文例 · 用例
」 それから書卓の抽出を開け、象牙の柄に青貝の鋳り込んでいる、女持ちの小形なピストルを取り出した。
— 萩原朔太郎 『ウォーソン夫人の黒猫』 青空文庫
ヘッヘッヘッ」と、吉武有と云う、鋳込まれたキャプスタン見たいな、あの船長奴、抜かしやがった。
— 葉山嘉樹 『浚渫船』 青空文庫
だが高速度鋼のカッターは、鋳物を、ナイフで大根でも削るように削る。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
その各片はデッキの鋳瘤のように、デッキへ堅く凍りついていた。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
何とかいう芝居で鋳掛屋の松という男が、両国橋の上から河上を流れる絃歌の声を聞いて翻然大悟しその場から盗賊に転業したという話があるくらいだから、昔から似よった考えはあったに相違ない。
— 寺田寅彦 『電車と風呂』 青空文庫
同じ鋳掛屋がもしも一風呂浴びてここを通りかかったのだったら、同じ絃歌の音は却って彼の唱歌を誘い出したかもしれない。
— 寺田寅彦 『電車と風呂』 青空文庫
その場合には、甲の頭の中にはちゃんとAの鋳型のようなものが出来ているので、BCDの中に、ちょっとでもAに似たところがあると、その点をつかまえて、Aの鋳型にあてがって、そうして他の部分をその型に鋳直してしまうらしい。
— 寺田寅彦 『観点と距離』 青空文庫
後者等は大体において人間心理を伝統的理想の鋳型に嵌めて活動させているとしか思われないのに反して、西鶴だけは自分自身の肉眼で正視し洞察し獲得した実証的素材を赤裸々に記録している傾向がある。
— 寺田寅彦 『西鶴と科学』 青空文庫