間遠
まどお
形容動詞名詞
標準
at long distance
文例 · 用例
と、喘いでゐたお前の息は丁度臨終の迫つた病人のやうに和いで來、鎭まつて行き、段々に間遠になつて、時々深い吐息がお前の白い咽喉首を脹らました。
— 南部修太郎 『疑惑』 青空文庫
と、お前の息は殆ど絶えてしまつたかと思はれるやうに幽かに間遠になり、マスクの周圍に見えてゐる頬や額にはほのかな血の赤みが差してゐた。
— 南部修太郎 『疑惑』 青空文庫
然し、其處にはお前の間遠な息が靜に聞えてゐるばかりだつた。
— 南部修太郎 『疑惑』 青空文庫
と、程近くのイギリス人の家でいつとなく鳴りはじめたピヤノの音が、その沈默をくすぐるやうに間遠に聞こえてたただ一|脚のトイスが、いや、あまりにもそれとかけ隔たつたさういふみじめな現実のすべてがうつすりとよみがへつて※た。
— 南部修太郎 『夢』 青空文庫
極く丈の詰った影で、街燈が間遠になると鮮かさを増し、片方が幅を利かし出すとひそまってしまう。
— 梶井基次郎 『泥濘』 青空文庫
後に小田原の町を放れ、函嶺の湯本近に一軒、茶店の娘、窶れ姿のいと美しきが、路傍の筧、前なる山凡そ三四百間遠き處に千歳久しき靈水を引いたりといふ、清らかなる樋の口に冷たき其の土を洗ふを見て、山の芋は鰻になる、此の牛蒡恁くて石清水に身を灌がば、あはれ白魚に化しやせんと、そゞろ胸に手を置きしが。
— 泉鏡太郎 『城の石垣』 青空文庫
間遠に立っている七、八軒の家の前を過ぎた。
— 幸田露伴 『観画談』 青空文庫
それも花繁く間遠からではをかしからじ。
— 幸田露伴 『花のいろ/\』 青空文庫