溺没
できぼつ
名詞
標準
文例 · 用例
危うく溺没を救われた米友は、「ちぇッ」 舌打ちをして、踵を返すと、あられもない方へ、走り出しました。
— 年魚市の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
鏡のような両側の壁は、たがいにその光を反映し、はねかえし、それがまた天井の内輪へ照りかえって、洞道全体が、赫奕たる光の氾濫の中へ溺没する。
— 久生十蘭 『地底獣国』 青空文庫
資本の奴隷どもは、漸く真人間の仲間入をしようとする権利を得ながら、半途にしてこの宗教といふ下等な火酒の中に溺没してしまふのである。
— 斎藤茂吉 『日本大地震』 青空文庫
これそもそも人心の奇を好むによるか将たその間必然の理勢ありて存するか流行の勢は滔々として氾濫の力を逞くし下土を水にし陵谷を汨にし天下を挙げて深淵に溺没せざるものは幾稀矣。
— 津田左右吉 『史論の流行』 青空文庫