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短笛

たんてき
名詞
1
標準
文例 · 用例
それが例の鈴慕の曲なのです――だが、この旅人は、虚空がどうして、鈴慕がどうしてと、聞きわけるほどの耳を持合わせずに、ただ、笛が鳴る、短笛だ――意外にして意外でないと、足を留めて、耳をすましただけのものであります。
鈴慕の巻 大菩薩峠 青空文庫
七 座敷が暗くなってから暫くして、短笛の音がこの一室から起りました。
鈴慕の巻 大菩薩峠 青空文庫
兵馬はさもあるべきことと一巡しながら、廊下を半ばまで来た時分に、短笛の音が起りました。
鈴慕の巻 大菩薩峠 青空文庫
今や賢次が、わが身の懺悔話からはじめて、おもむろにお雪ちゃんの為めになる意見話の緒を切ろうとした途端に、この家のいずれの一角からか、飄々として短笛の音が落ちて来ました。
年魚市の巻 大菩薩峠 青空文庫
面影は全くわからなかったが、炬燵の傍に机があって、その上に一管の短笛が置かれていることは、めさとく認めないわけにはゆきません。
年魚市の巻 大菩薩峠 青空文庫
あの短笛の音も変じゃないか。
年魚市の巻 大菩薩峠 青空文庫
そこであの天井の節板の上や、この畳のめどや、屏風の背後や、例のほくち箱の中なんぞに潜んで、隙を見てはこの話敵を取って押えようとしましたが、なかなかいけません、今日は御機嫌がいいようだと思って来て見ると、不意にあの短笛です、例の『鈴慕』ですね。
弁信の巻 大菩薩峠 青空文庫
それを逐一耳を傾けて聞き終りながら、向う岸に立って物を尋ねている人は、急いで教えられた方へは踵を向けず、「あれは、どこから響いて来ますか、あの短笛の音は……」 そう言われて、はじめてこちらの人が聞き耳を立てました。
不破の関の巻 大菩薩峠 青空文庫