鏤める
ちりばめる
動詞
標準
文例 · 用例
伸子は甲板の椅子によって、鏤めるという字そのままに美しく、大きく黒い空にきらめいている星を見まもりながら、流れ下る若い男の唄声にとかされてそのまま眠ってしまったこともあった。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
そこで、翻訳者は、芝居のセリフとしてゆるされる範囲の緩急抑揚を、その豊富な語彙をもって自由に創りあげ、われわれの耳に極めて快く響く一種の名調子を、至るところに鏤めるという工夫をこらしています。
— 岸田國士 『あるニュウ・フェイスへの手紙』 青空文庫
わけても五月二十八日の夜は、涼み船は川を埋め、兩岸には涼みの棧敷を列ね、歌と酒と、男と女と、歡呼と鳴物との渦卷く頭上に、江戸中の船宿茶店その他盛り場の寄進による大花火が、夜半近くまでも、ひつきりなしに漆の夜空に炸裂して、江戸の闇に豪華極まる火の藝術を鏤めるのでした。
— 鬼の面 『錢形平次捕物控』 青空文庫