鄙歌
ひなうた
名詞
標準
folk song
文例 · 用例
このごろ見たうちで、アメリカの川船を舞台としたロマンスの場面中に、船の荷倉に折り重なって豚のように寝ているニグロの群れを映じてそれにものうげに悲しい鄙歌を歌わせるのがあった。
— 寺田寅彦 『映画時代』 青空文庫
調子はずれの鄙歌が一度に起こって皿をたたく音もする。
— 寺田寅彦 『竜舌蘭』 青空文庫
籠を木にかけ、野に伏して鄙歌優にうたひなば、都女の數寄こむる鬢の風情をかたらまし。
— 薄田泣菫 『泣菫詩抄』 青空文庫
矢筈は蕪菁、矢柄は葭――という鄙歌を、たぶん貴方は御存じでしょうが」「さよう、この事件でもそうです。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
今も、その官能的な鄙歌を叱りつけてから、ゾッとその寒さを心頭から感じて、あわてて枕もとの風呂敷を取って、その頭からかぶせてしまい、そうして道庵並みに軽い旅情というようなものに動かされて、こし方、行く末というようなものが上っ面へのぼって来たところであります。
— めいろの巻 『大菩薩峠』 青空文庫
「可憐なる八重山乙女」が白明井のほとりで歌う絶唱、宮古島の名もない詩人が八重山おとめを歌うた長い鄙歌共にこれを誦すれば、いよいよ南島の空がなつかしくなる。
— ――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ―― 『南嶋を思いて』 青空文庫
『生木にゃ青い血、オージルビーにゃ金の血』という名高い鄙歌はあれは修辞的の意味ばかりでなく文字通りの意味があるのじゃ。
— THE HONOUR OF ISRAEL GOW 『作男・ゴーの名誉』 青空文庫
山やまは雲の帳をかかげ、湖辺の灌木はさながら乙女となって朝の姿をうつし、梢にはなに鳥かきてまろらかな鄙歌をうたう。
— 中勘助 『島守』 青空文庫
作例 · 標準
旅先で耳にした鄙歌の素朴なメロディが、いつまでも心に残っている。
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万葉集には、地方の農民たちの生活を詠んだ鄙歌が数多く収められている。
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鄙歌を聴きながら、かつての日本の農村風景に思いを馳せるのは感慨深い。
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