籐表
とうおもて
名詞
標準
文例 · 用例
大勢|余り隙だから、歩行出したように、もぞりもぞりと籐表の目や鼻緒なんぞ、むくむく動く。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
」 頭は籐表を打った、繻珍の鼻緒で、桐の柾という、源次が私生児を引放して、片足打返して差出した。
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫
上り口に蓮葉な脱ぎ方をしてある、籐表の下駄は、お国のであった。
— 徳田秋声 『新世帯』 青空文庫
絹の重ね着をして、年よりずっとはでな羽織を着、籐表ての駒下駄を絹足袋の□にひっかけて居る。
— 宮本百合子 『栄蔵の死』 青空文庫
来た時の通りな装りをして足の下に隠れて仕舞う様な籐表ての駒下駄を履いて固く成ってついて行く様子を見送って、井戸端に居た恭吉は、「へ、好い若旦那だ。
— 宮本百合子 『お久美さんと其の周囲』 青空文庫
「ああいう人たちのはく下駄は大抵|籐表の駒下駄か知ら。
— 永井荷風 『十日の菊』 青空文庫
彼女がうちにいるという事実をたしかめるに有力な証拠としては、紅い鼻緒の立った籐表の女下駄が、日ぐれどきの玄関のうす明りに、ほんのりと口紅のように浮んでいるのを見たとき、たしかに家にいるということが感じられた。
— 室生犀星 『性に眼覚める頃』 青空文庫
それは誰でも男は女の下駄を思わず引っかけて見たい一種の好奇心があるように、私の場合では、籐表のところで思うさま手を擦って見たいような、も一つはその雪駄を緒は緒、表は表、裏は裏という順序にばらばらに壊して見たいような惨忍に近い気持が、また、ふいに顔を出して来たりした。
— 室生犀星 『性に眼覚める頃』 青空文庫