黒パン
くろパン
名詞
標準
brown bread
文例 · 用例
」 彼は袋の底をさぐって、黒パンを一と切れ息子に出してやった。
— 黒島伝治 『橇』 青空文庫
爺さんの手のさきには、小さい黒パンがそれを食おうとしているところをやられたもののようにころがっていた。
— 黒島伝治 『橇』 青空文庫
鼠色の瓦屋根も、黄土色の壁も、トンネルの紅色の煉瓦も、燻されまた晒されて、すっかり原色を失い、これを舌の風味にしたなら裸麦で作った黒パンの感じだと鼈四郎はいつも思う。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
黒パンにチーズを塗り乍ら、じっと彼が酒を※るのを眺めて居た女は、此種の女の敏感に伴う微な身慄いを身体中に走らせたが、最後に歪めた眼をだらしなく緩めると力の抜けた様にパンもナイフもテーブルへ抛げ出して云った。
— 岡本かの子 『ドーヴィル物語』 青空文庫
あゝ、一切の明日を憂ふ勿れ、今日、始末せよ、そして「兵士の歌だ――今日は黒パン、明日は白パン、――セント・ジオゲネスの樽を夢見よ。
— 牧野信一 『途上日記』 青空文庫
「それまで、若しおなかゞすいたら、このパンを少しづつ食べながら――」 ユキ子は私の傍らに石ころのやうな黒パンを一つ投げ出して出て行きました。
— 牧野信一 『ランプの便り』 青空文庫
新聞記者は私達を取り囲んで一日に黒パンを幾ポンド支給されるかとか、強制労働は苦痛だらうとか、常識的な質問をし私はこれに常識的な答をするだらう。
— 詩集(5)飛ぶ橇 『小熊秀雄全集-6』 青空文庫
ソビヱットの苦痛は黒パンの量や、強制労働や、隊の規律にあるのではない。
— 詩集(5)飛ぶ橇 『小熊秀雄全集-6』 青空文庫