蹲
つくばい
名詞
標準
stone wash basin found in Japanese gardens
文例 · 用例
新聞紙も何もないので私は遂に諦めて蹲むだけに満足する。
— 中原中也 『深夜の峠にて』 青空文庫
然しかうして今私は峠の途中に蹲んでゐて、まことにしみじみとした気持だし、それとなく此の世の、何といはうか哀愁が思ひ遣られもするのだ。
— 中原中也 『深夜の峠にて』 青空文庫
馬場の足もとに、真赤な麻の葉模様の帯をしめ白い花の簪をつけた菊ちゃんが、お給仕の塗盆を持って丸く蹲って馬場の顔をふり仰いだまま、みじろぎもせずじっとしていた。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
兄は何時もさうだが、此の時は殊に耕二の部屋にチヤンと坐る気になれなくて蹲んでゐた。
— 中原中也 『耕二のこと』 青空文庫
湯上りではあるし、蹲んでゐることは却て熱苦しかつた。
— 中原中也 『耕二のこと』 青空文庫
紳士の影に潛んで顏も上げず、蹲踞つて、風呂敷の包物を膝にかかへた儘、胸悸して居るのが不圖目を見張つて、壯侠の顏を偸視る、途端、その亦鋭い視線と出合つて、俯向と急に顏色を變へた。
— 萩原朔太郎 『二十三夜』 青空文庫
直径百メートルもあるかと思う円周の上を走って行くその円の中心と思う辺りを注意して見るとなるほどそこに一羽の鳥が蹲っている。
— 寺田寅彦 『鴫突き』 青空文庫
そうしてじっと蹲ったままで可愛い首を動かして自分のまわりをぐるぐる廻って行く不思議な人影を眺めているようである。
— 寺田寅彦 『鴫突き』 青空文庫
作例 · 標準
茶室に入る前に、蹲の清らかな水で手と口を清め、俗世の汚れを払い落とした。
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寺院の庭園の隅にある苔むした蹲に、真っ赤な紅葉が一枚、静かに浮かんでいる。
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「この蹲は鎌倉時代の古い石を使っているから、独特の趣があっていいだろう」と住職が自慢げに言った。
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