袖塀
そでべい
名詞
標準
文例 · 用例
こんなに見えても、四斗俵の米だって持てるんですもの」 お銀はそういった自分が恥かしくなったか、袖塀風の蔭で忍び笑いするのでした。
— 怪盗系図 『銭形平次捕物控』 青空文庫
十六弁の裏菊の紋のついた大提灯がほのかに明りを投げている寛永寺裏門の袖塀をかすめ、小さい潜り門のうちへ、お袖のすがたは、吸いこまれるように逃げこんでいた。
— 吉川英治 『大岡越前』 青空文庫
表門の袖塀の蔭から弾かれたように一つの影が、往来を横ぎって向うの小路へ隠れたのを、声と共に、誰も見た。
— 水の巻 『宮本武蔵』 青空文庫
三年坂や茶わん坂を、ちりぢりに帰る群衆のうちで、あの時、武蔵のすがたは、西門の袖塀の六尺もある築土へ、猫のように跳び上がって、すぐ見えなくなったのだ――と取沙汰する者もあったが、誰も信じなかった。
— 水の巻 『宮本武蔵』 青空文庫