腐汁
ふじゅう
名詞
標準
文例 · 用例
さういふ残物と冷たく成つた豆腐汁とをつゝいても麥の交らぬ飯が其の口には此の上もない滋味なので、女房等は其の強健で且擴大された胃の容れる限りは口が之を貪つて止まないのである。
— 長塚節 『土』 青空文庫
……此宿は評判がよくない、朝も晩も塩辛い豆腐汁を食べさせる、しかし夜具は割合に清潔だし(敷布も枕掛も洗濯したばかりのをくれた)、それに、温泉に行けて相客がないのがよい、たつた一人で湯に入つて来て、のんきに読んでゐられる。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫
夕飯は、さしみと豆腐汁と煮豆と茄子漬、なかなかの御馳走だつた、ことに前は造酒屋だから、飲みすごしたのも無理はなからう!
— 大田から下関 『行乞記』 青空文庫
……今日の所得 (銭四十銭、米二升四合)御馳走 (小海老のいりつけ、にんじんのおしたし、豆腐汁)もう栗が店に出てゐる、栗そのものは食べたいとも思はないが、栗の感じはよろしい、柿――きねり柿――をおせつたいとして頂戴した、歯がわるいから小供にくれてやつたが。
— 広島・尾道 『行乞記』 青空文庫
所得は(銭三十銭、米四合) 二五中ノ上御馳走は(豆腐汁、素麺汁)前が魚屋だからアラがダシ、豆腐はお手のもの。
— 広島・尾道 『行乞記』 青空文庫
着衣も、腐汁に浸みた所だけは、腐ってボロボロになり、そこから黄ばんだ、雁皮みたいな皮膚が覗いている。
— 小栗虫太郎 『オフェリヤ殺し』 青空文庫
初七日や松茸飯に豆腐汁 家内の者ども打連れて青山へ墓参にゆく。
— ――甲字楼日記の一節―― 『叔父と甥と』 青空文庫
豆腐汁に鮭、ゴマメは生で二|疋ずつお膳につけた。
— 田山花袋 『田舎教師』 青空文庫