歯黒
はぐろ
名詞
標準
tooth blackening
文例 · 用例
御歯黒蜻蛉が、鉄漿つけた女房の、微な夢の影らしく、ひらひらと一つ、葉ばかりの燕子花を伝って飛ぶのが、このあたりの御殿女中の逍遥した昔の幻を、寂しく描いて、都を出た日、遠く来た旅を思わせる。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
微かにお歯黒をつけた蚕豆の粒の一つと一緒に繊弱い豆の虫が一匹落て出た。
— 岡本かの子 『唇草』 青空文庫
お歯黒をした気味の悪い口を私の耳に押しつけながらもう涙ぐみ、そして私がわけの判らぬままにキョトンとしていると、もっとはんなりしなはれと叱りつけて、悲しかったらわてといっしょに泣きイ、さア、せえだい泣きイと、言うのです。
— 織田作之助 『アド・バルーン』 青空文庫
もうとっくに死んでいたおきみ婆さんと同じようにお歯黒に染めていたその婆さんは、もと髪結いをしていて、その家の軒には「おめかし処」と父の筆で書いた行灯が掛っていたのだが、二三年前から婆さんの右の手が不随になってしまったので、髪結いもよしてしまったらしい。
— 織田作之助 『アド・バルーン』 青空文庫
寂しい無縁坂を降りて、藍染川のお歯黒のような水の流れ込む不忍の池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。
— 森鴎外 『雁』 青空文庫
婆あさんはお歯黒を剥がした痕のきたない歯を見せて、恭しいような、人を馬鹿にしたような笑いようをして、頭を二三遍屈めて、そのまま跡へ引き返して行った。
— 森鴎外 『雁』 青空文庫
御歯黒蜻蛉が、鉄漿つけた女房の、微な夢の影らしく、ひら/\と一つ、葉ばかりの燕子花を伝つて飛ぶのが、此のあたり御殿女中の逍遙した昔の幻を、寂しく描いて、都を出た日、遠く来た旅を思はせる。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
お歯黒|溝の側を大門に廻る。
— 森鴎外 『ヰタ・セクスアリス』 青空文庫
作例 · 標準
昔の日本では、既婚女性が歯黒をする習慣があった。
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彼女は時代劇の役作りのために歯黒を施した。
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歯黒は、かつて美意識の一つとして考えられていた。
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