雑性
ざつせい
名詞
標準
文例 · 用例
人間の複雑性を底まで見極めようとする其の見方も、一応は解らぬことはない。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
日本のインテリゲンツィアの性格は、よかれあしかれ、今日において独特であり、他の国のインテリゲンツィアとちがう複雑性をもっている。
— ――インテリゲンツィアと民主主義の課題―― 『誰のために』 青空文庫
『人民の文学』は、ひろく読まれているのに、詳細な書評が少ないのは、この複雑性によるとも考えられる。
— ――宮本顕治の文芸評論について―― 『巖の花』 青空文庫
それ故、夫婦とも階級人として積極性をもっている場合、生活と文学とにおける相互の発展の可能性は大きな未来とともにあるのであるが、現実の複雑性は、又そこに極めて意味ふかい現象をもあらわしている。
— 宮本百合子 『夫婦が作家である場合』 青空文庫
ここにおいて、このマタ・アリの生涯を語ることは、今日の太陽のごとき生色を帯び、現代そのもののような複雑性を暗示し、しかも、アラビアン・ナイトを思わせる絢爛たる回想であらねばならぬ。
— 牧逸馬 『戦雲を駆る女怪』 青空文庫
× 小酒井氏の作の特色は、その筋の単純化にあり、甲賀氏の作の特色は、その筋の複雑性にある。
— 国枝史郎 『愚言二十七箇条』 青空文庫
問題は今のところ簡単であり、探偵小説にあるような、複雑性などは無いのですから、考える必要も無かった訳です。
— 国枝史郎 『さまよう町のさまよう家のさまよう人々』 青空文庫
科学的進歩と、文化の複雑性に於て、時代的に今日に遅れていたとは言え、人間として、国民としての本質的な精神と、敦みと心ばえとに於て、私の幼いころの日本は健康な、正しい道を歩みつつあったのだ。
— 倉田百三 『光り合ういのち』 青空文庫