滅無
滅無
名詞
標準
文例 · 用例
一念弥陀仏、即滅無量罪障と聞けど、わが如き極重悪人の罪を救はれざらむ事、もとより覚悟の前ぞかし。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
」 想ひ描けない空想に、己れの身を煙りに化へてまでも、何らかの形を拵へようとする彼の想ひは、徒らに渺として、瀲※と連り、古き言葉に摸して云ふならば、恰も寂滅無為の地に迷ひ込む思ひに他ならなかつた。
— 牧野信一 『鏡地獄』 青空文庫
――たゞ、惨めなことには彼の心は、子供の頃のそれのやうに容易く「寂滅無為の地」に遊べなかつたのである。
— 牧野信一 『鏡地獄』 青空文庫
しかし、もしこれを唯物論者のごとく、表面一様の解釈を下し、死後の霊魂はこの作用を現ずることなければ、滅無に帰したるものとなすも、その説のごときは、悟性に満足を与うることができても、決して理性に満足を与うることはできぬに相違ない。
— 井上円了 『通俗講義 霊魂不滅論』 青空文庫
もし、人がこの一生限りのもので、死後は永く滅無に帰するのであると聞いたならば、生涯不幸不運ばかりにて、この世で満足を得る見込みのないものは、自暴自棄するよりほかに道はありますまい。
— 井上円了 『通俗講義 霊魂不滅論』 青空文庫
*足は銀色玲瓏の神女答へて彼に曰ふ、『わが子、誠に然かなりき、厄に陷る同輩を、破滅無慚の境より、解くをいみじとせざらめや?
— ILIAS 『イーリアス』 青空文庫
上野の鐘が鳴る前世紀の人達が幾百年聞き澄ましたそれと同じ寂滅無常の声。
— 永井荷風 『曇天』 青空文庫
一念弥陀仏、即滅無量罪、願わくは、逆縁を以て順縁となし、最後の念仏により、極楽往生の遂げられんことを、お願い申します」 高らかに念仏を称えて、首をさし伸べた。
— 第十二巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫