多恨
たこん
名詞形容動詞
標準
many regrets
文例 · 用例
芸術よりも、その日暮しは千倍も豊富である人、多情多恨夢は荒野を駆け廻りながら、実はといへば陋巷の一室に暗然影を抱いて寝ぬる人、――所詮ヂェラルドは陶酔の一形式として存する。
— 中原中也 『ヂェラルド・ド・ネルヴァル』 青空文庫
就中喫茶店は、貴婦人社会にさるものありと衆も識りたる深川綾子、花の盛の春は過ぎても、恋草茂る女盛り、若葉の雫滴たるごとき愛嬌を四方に振撒き、多恨多情の八方睨に大方の君子を殺して黄金の汁を吸取ること長鯨が百川を吸うがごとし。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
人生は斯の如く多恨なり、多方なり、然れども世界と共に存在し、世界と共に進歩する思想なるものは、羅針盤なくして航行するものにあらずと見えたり。
— 北村透谷 『明治文学管見』 青空文庫
そは多情多恨なる證なるべし。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
多情多恨金色夜叉類。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
しかし『根本説一切有部毘奈耶雑事』に、女も蛇も多瞋多恨、作悪無恩利毒の五過ありと説けるごとく、何といっても女は蛇に化けるに誂え向きで、その例|迥かに男より多くその話もまたすこぶる多趣だ。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
香峰は好男子にして、多情多恨の才子なり。
— 大町桂月 『月の隅田川』 青空文庫
それが、『多情多恨』あたりに来てやつと思ひ通りなものにぶつつかつたといふやうなことを言つたのを私は聞いたことがあつた。
— 田山録弥 『明治文学の概観』 青空文庫
作例 · 標準
彼女は「多恨な半生だった」と、静かに自分の歩んできた道を振り返った。
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多恨の思いを胸に秘めたまま、彼は誰にも告げずに街を去っていった。
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若くしてこの世を去った詩人の作品には、隠しきれない多恨の響きが感じられる。
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