檠
檠
名詞
標準
文例 · 用例
)夫人、世話めかしく、雪洞の蝋を抜き、短檠の灯を移す。
— 泉鏡花 『天守物語』 青空文庫
四 夜の食事が濟んでから、親子四人は爐を片邊に短檠を圍んだ。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
只今持参致しまするところで厶ります」 応じて時を移さずに新らしい短檠を捧げ持ち乍ら、いんぎんにそこへ姿を見せたのは、お気に入りの近侍道弥ならで、茶坊主の大無である。
— 佐々木味津三 『老中の眼鏡』 青空文庫
五体をふるわし、唇をわななかせ乍ら躍り込んでいった千之介の、血走っているその目にはっきり映ったのは、ほの暗い短檠の灯りをあび乍ら、こちらに背を見せて坐っていた妻の姿である。
— 佐々木味津三 『十万石の怪談』 青空文庫
唐来とおぼしき金具造りの短檠にはあかあかとあかりがとぼされ、座にはきんらんのおしとねが二枚、蒔絵模様のけっこうやかなおタバコ盆には、馥郁として沈香入りの練り炭が小笠原流にほどよくいけられ、今は、ただもうそのお来客と城主伊豆守のご入来を待つばかりでした。
— 血染めの手形 『右門捕物帖』 青空文庫
ホシの女しょっぴいてきましたから、さ、とっくり首実検をなせえましよ」 叫びながら伝六が表玄関に威勢よく駕籠をのりつけて、鼻高々とひとりの御殿女中を引ったててまいりましたものでしたから、右門はおもむろに短檠のあかしをかきたてると、まずそれなる女の首実検に取りかかりました。
— 毒色のくちびる 『右門捕物帖』 青空文庫
黙ってすうと這入って来ると、短檠の灯影をさけるようにして、その美しい面を横にそむけながら、大の字となっている兄のうしろに黙々と寝間着を介添えました。
— 旗本退屈男 『旗本退屈男 第一話』 青空文庫
しかもそれが新刀は新刀でしたが、どうやら平安城流を引いたらしい大変れ物で、荒沸え、匂い、乱れの工合、先ず近江守か、相模守あたりの作刀らしい業物でしたから、時刻は今|短檠に灯が這入ったばかりの夕景とは言い条、いわゆるこれが良剣よく人をして殺意を起こさしむと言う、あの剣相の誘惑だったに違いない。
— 続旗本退屈男 『旗本退屈男 第二話』 青空文庫