恐水病
きょうすいびょう
名詞
標準
hydrophobia
文例 · 用例
恐水病の予防 昨年中パリのパストゥール免疫所で狂犬に噛まれた人のために恐水病予防の注射を行うた件数が七百七十三、その中で不幸にして該病のために死んだのはわずかに二人しかない。
— 寺田寅彦 『話の種』 青空文庫
すなわち恐水病というものはほとんど全く予防する事が出来ると云ってもよい。
— 寺田寅彦 『話の種』 青空文庫
脚の傷がなおっても、体内に恐水病といういまわしい病気の毒が、あるいは注入されてあるかもしれぬという懸念から、その防毒の注射をしてもらわなければならぬのである。
— ―伊馬鵜平君に与える― 『畜犬談』 青空文庫
また、うっかり注射でも怠ろうものなら、恐水病といって、発熱悩乱の苦しみあって、果ては貌が犬に似てきて、四つ這いになり、ただわんわんと吠ゆるばかりだという、そんな凄惨な病気になるかもしれないということなのである。
— ―伊馬鵜平君に与える― 『畜犬談』 青空文庫
彼が能弁になるのは一種の発作で、無害な犬が突然恐水病にかかるようなものだ。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
その中には、浮浪人もかなりたくさんいて、いろいろわるいことばかりするので、警察も急にいろいろのやかましい法令をつくり、ついで衛生上のことにもあれこれと手をつくし出した結果、恐水病をふせぐために、町中に、のら犬を歩かせないことにきめてしまいました。
— 鈴木三重吉 『やどなし犬』 青空文庫
町の人たちの中には、このとりしまり法のために、たとえ野犬でも、いつも来なれていた犬がどんどんひっくくられていくので、恐水病のおそれよりもまえに、じつにひどいことをすると言って、警察へ悪感情をいだくものがずいぶんいました。
— 鈴木三重吉 『やどなし犬』 青空文庫
此頃のやうな恐水病が恐ろしいからツて濫りに不幸な浪人犬を撲殺し、歴気とした御主人様でさへが、能く職分を守つて吠える者は直ぐ狂犬だと誣ひて殺して了う時勢では公の恩沢は今更のやうに渇仰するよ。
— 内田魯庵 『犬物語』 青空文庫