草莱
そうらい
名詞
標準
文例 · 用例
茫々たる曠野、草莱いたずらに茂って、千古ただ有るがままに有るのみなのを見て、氏郷は「世の中にわれは何をかなすの原なすわざも無く年や経ぬべき」と歎じた。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
それさへ狐兎の踰ゆるに任せ草莱の埋むるに任せたる事、勿体なしとも悲しとも、申すも畏し憚りありと、心も忽ち掻き暗まされて、夢とも現とも此処を何処とも今を何時とも分きがたくなり、御墓の前に平伏して円顱を地に埋め、声も得立てず咽び入りぬ。
— 幸田露伴 『二日物語』 青空文庫
だが、古い齒を拔き去ることに於て遲疑しては、新しい齒の爲にならぬ、草莱を去らねば嘉禾は出來ぬのである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
だが、古い歯を抜去ることを躊躇していては新しい歯の為にならない、「草莱(雑草)を去らねば嘉禾(良い穀物)は出来ない」のである。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
已にその領域に入れば田疇ことごとく治まり草莱甚だ辟け溝洫は深く整っている。
— 中島敦 『弟子』 青空文庫