蕩漾
蕩漾
名詞
標準
文例 · 用例
午過にもよくこの蕩漾を味った。
— 夏目漱石 『思い出す事など』 青空文庫
ともわたしは長年一日酔えるが如き自分の頭を疑つたが、狼の糞のあつた山や煙草車を駆つた道は、たしかにそこに蕩漾たる春のまぼろしの長酔極みなき紗窗の彼方に浮んでゐるのだ。
— 牧野信一 『湖の夢』 青空文庫
その声はほとんど宿命的に、折角橋を渡りかけた素戔嗚の心を蕩漾させた。
— 芥川龍之介 『素戔嗚尊』 青空文庫
苦痛とも歓喜ともつかない感情は、用捨なく私の精神を蕩漾させてしまいます。
— 芥川龍之介 『疑惑』 青空文庫
「午前三時ごろ、駿河台ニコライ会堂の直上、雲煙の間一個の火球あり、爛として輝くこと落日の赤き程度にして、周囲暗黒なるがために特に燦然たり、他の火は水平に連りて蕩漾するも、この火球は更に動かず。
— 武者金吉 『地震なまず』 青空文庫