羞じらい
はじらい
名詞
標準
文例 · 用例
白糸はいよいよ羞じらいて、「いやだよ、もう。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
それにもかかわらずおぬいさんが処女らしい羞じらいのために、深々と顔を伏せたのが痛むほどきびしく園の感覚に伝ってきた。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
ある女は豊満なる四肢をくねらせて髪を梳り、ある女は羞じらいを含んで櫛を銜えて佇み、ある女は小波の立つ泉のほとりに憩い……さながら林泉に喜戯する森の女神の群れと題する古名画の一幅の前に佇むがごとき思いであった。
— 橘外男 『ウニデス潮流の彼方』 青空文庫
身の上を話そうとしてまず燈火を細くする娘らしい羞じらいと神経のこまかさが感じられて大助は何やらほのぼのとした気持にうたれるのだった。
— 山本周五郎 『新潮記』 青空文庫
――いいつけても、或いは、羞じらいして、ためらうかと思っていると、於通は、「はい」 と、すぐ赤裸の秀吉のうしろへ廻って、かれの背をごしごしこすり始めた。
— 第十分冊 『新書太閤記』 青空文庫
いやなお、以前のほこりに似たようなものを胸に仕舞っているらしい彼女らには、逆な羞じらいもあるのだろうか。
— 吉川英治 『紅梅の客』 青空文庫
ただ男に対してだけは、ずばずば応対して女の子らしい羞らいも、作為の態度もないので、一時女学校の教員の間で問題になったが、商売柄、自然、そういう女の子になったのだと判って、いつの間にか疑いは消えた。
— 岡本かの子 『鮨』 青空文庫
広い山の湯の男女の混浴は隔離した湯よりも、むしろ清浄な山川の匂いが強く肌に染み入り、互に羞らいのない心の爽かさが、また一層朝の人の眼醒めを美しくした。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫