隔靴
かっか
名詞
標準
文例 · 用例
タヴォオテの、あの巻頭の短篇を読んで見れば、多少隔靴の憾はあるとしても、前後の文意で、ニヒト・ドホがまるで分からない筈は無い。
— 森鴎外 『青年』 青空文庫
事物の説明に隔靴の歎あり夫れから又、亜米利加人が案内して諸方の製作所などを見せて呉れた。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
けだしこの時といえども、通商の国は和蘭一州に限り、その来舶するや、ただ西陲の一長崎のみなれば、なお書籍のとぼしきに論なく、すべて修学の道、はなはだ便ならざれば、未だ隔靴の憾を免れず。
— 福沢諭吉 『慶応義塾の記』 青空文庫
あなたの胃腸のわるい原因がやっぱり胃腸から吸収されるものによって癒されるしかないことを思い、まことに隔靴掻痒の感です。
— 一九三六年(昭和十一年) 『獄中への手紙』 青空文庫
その座談会の記事は多分の省略があり、前後の脈絡がなく、隔靴掻痒の嘆はあつたけれども、ともかく、ねらひの正しい、鋭い企画である。
— 岸田國士 『感想』 青空文庫
「当時、洋学者流の心事を形容すれば、あたかも自分に綴りたる筋書を芝居に演じて、その芝居を見物するに異ならず、もとより役者と作者と直接の打ち合せもなければ、双方とも隔靴の憾みはあるべきなれども、大体の筋に不平を見たることなし」(『福翁百余話』)。
— 服部之総 『福沢諭吉』 青空文庫
風俗についても大体いはゆる「隔靴掻痒」でなくかいたものを集めたと思ふので、「人」についてもさうして書いたものを交へておきたかつた、ぼくの「本をこしらへる神経」が為せる業だつたらう。
— 木村荘八 『東京の風俗 序』 青空文庫
彼は世界を以て家とするの大規模ある空気を呼吸し、我は日本の外日本あるを知らざる鎖国的の小籌に齷齪たる情趣、隠約の間に出没し、ために隔靴掻痒の感なき能わざらしむ。
— 徳富蘇峰 『吉田松陰』 青空文庫